「福田家」の2022年を振り返り、漢字一文字で表すとするならば「実」の字がふさわしいように思います。コロナ禍の中、3年近く積み上げてきた試行錯誤が実を結びはじめ、ようやく花開いてきた一年でした。テイクアウトのメニュー開発を行ったり、クラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げたりなど、このような時代に対応すべく取り組んだ新しい挑戦が、お客様に喜んでいただけたのを肌で感じることができました。
また私自身も2022年は国内のあちこちに行かせていただき、年明けには金沢で川端れんこんを生産している「蓮だより」川端さん、春先には淡路島でなまこ加工品を作っている「品川水産」品川さん、夏には函館でおいしいアスパラガスを育てている「ジェットファーム」長谷川さんのもとなどを訪れました。各地の生産者さんと直接お話をし生産の様子を拝見しながら、食への向き合い方をより深く学ばせていただきました。
2020年のコロナ禍以降はお店を開けられなかった苦しい時期もありましたが、ありがたいことにこの度もミシュラン二つ星を16年連続でいただくことができました。現在はリピーターのお客様が継続して来てくださっていますし、新規のお客様や、22年秋頃からはインバウンドのお客様も増えてまいりました。私たち自身も「お客様が来てくださること」への喜びが以前に増しているのを感じます。マスク越しではありますが、スタッフの表情からもそれが伝わってきます。
2022年の「実」は、いずれも私一人では到底できなかったことです。調理場をはじめとする優秀なスタッフ、生産者様、取引業者様、そして何よりお客様あっての「福田家」なのだということを強く実感した一年でした。2023年も引き続き、お客様がいてこそのお店だということを念頭に、物価上昇、新しい人材の採用などさまざまな課題に向き合っていきたいと思います。目下、新たな冷凍食品やレトルト商品の開発にも力を入れておりますので、これからの展開をどうぞ楽しみにお待ちいただけましたら幸いです。