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冬の味覚で新年を祝う、お正月の献立。料理長・松下俊一

寒鰤照焼き/淀大根餡 スナックエンドウ すり柚子

キリッとした空気に気持ちも引き締まる、日本の年始め。毎年「福田家」では年明けから節分前までの期間、日本の冬の味覚を存分に楽しむお正月の献立をご用意しております。今回はその一例として、2025年お正月のコース料理から、2品をご紹介したいと思います。

毎年、お正月の献立の1品目または2品目には、宮内庁で1月におこなわれる「歌会始(うたかいはじめ)」のお題に合わせたお料理をご用意しております。歌会始とは天皇、皇后両陛下や皇族の方々の歌、また一般の入選者の歌などが披露される恒例の儀で、令和7年(2025年)の歌会始のお題は「夢」でした。

そこで今年のお正月のコースでは、1品目の「先付」に、河豚を使ったお料理を考えました。河豚白子炭火焼の「玉地蒸し」です。大きく膨らむ夢と、焼くことで丸く膨らむ河豚のイメージを重ねました。河豚の白子は年明けとともにぐっと大きくなり、毎年2月頃までがとてもおいしい時期だと言われています。今回は九州・宮崎産の白子に塩をふり、炭火で焼き上げることで香ばしい香りをつけました。

玉地蒸し/河豚白子炭火焼、須田農場の寒〆ほうれん草、山葵、ポン酢餡

この玉地蒸しのもうひとつの主役は、北海道・十勝にある須田農場さんから直送してもらった寒締めほうれん草です。平温でもマイナス10度〜20度になる、冬の十勝。雪除けのためにビニールハウスの中で育てられていますが、温室にはなっていません。極寒の地にて、寒さで縮こまりながらも、土からの栄養分を懸命に蓄えたほうれん草の甘みと旨みを味わえます。

仕上げに、鹿児島県の辺塚(へつか)だいだいという柑橘を2年熟成させて作った山葵ポン酢餡を合わせました。辺塚だいだいは2月になると甘みが出てくるため、仕込みを毎年2月におこない、そこから2年間じっくりと熟成させて使っております。

鶴があしらわれた御膳は石川県輪島の慶塚漆器のもの。お椀は魯山人の織部・輪花小茶碗です。器が醸し出す華やかな雰囲気や、蓋を開けたときの香り、口に含んだときのほっとする温かみをお楽しみいただければ幸いです。

コースの「焼物」では、氷見の寒鰤を使った「寒鰤照焼き」をご用意いたしました。和食の定番でもある鰤大根を焼き物としてアレンジしたお料理です。鰤は煮ることで中のおいしい脂が汁に出てきてしまうのですが、焼くことで旨みを閉じ込めることができるのです。

この時期の富山・石川の寒鰤はやはり絶品。大きさは約1メートルほど、重さも10〜13キロあり、脂ものっていて非常においしいです。

鰤に合わせた大根には、京野菜の淀大根を使いました。やわらかく炊いてから細かくし、餡かけのようにして合わせたことで、鰤とよくからまり、口当たりのよさも感じられます。水分が減り旨みがギュッと凝縮する冬の時期の根菜類のおいしさを味わっていただけると思います。

さらに食感、色合い、香りを楽しめるよう愛知県豊橋のスナックエンドウとすり柚子を添え、魯山人の信楽・柿の葉皿に盛り付けました。

全国各地からよりすぐった冬の食材と、寒い季節だからこそ感じる温かな味わい。それらをお届けできるよう、厨房でひとつひとつ心を込めてお作りしております。ぜひお楽しみください。

料理:

先付「玉地蒸し/河豚白子炭火焼、須田農場の寒〆ほうれん草、山葵、ポン酢餡」

焼物「寒鰤照焼き/淀大根餡 スナックエンドウ すり柚子」

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