冬の時期には積雪量が3〜4メートルにも及ぶという豪雪地帯、新潟県南魚沼郡津南町。この地で、ミネラルをたっぷり含んだ雪解け水を使用し、土壌づくりや品質管理から精米方法まで手間暇をかけ丁寧におこないながら、最高品質のお米を作っている農家さんがいます。魚沼産コシヒカリの0.003%しか存在しないという、希少価値の高いそのお米の名は「雪椿」。丹精を込めて大事に育て上げた稲の収穫が終わった新米の季節に、「雪椿産業」の小林善仁さんのもとを訪れました。


上越新幹線・浦佐駅から小林さんの車に乗せていただき1時間ほど。山々に囲まれた美しい「雪椿」の田んぼに到着しました。空気の澄みわたる津南の田園風景を前に、長きにわたり大自然の恵みが受け継がれてきている場所なのだなと感じました。印象的だったのは、津南町の住居には2階にもドアがついていること。雪が積もる時期は1階が完全に埋まってしまうのだそうです。冬の時期はさぞや大変かと思いますが、そうした厳しい自然の恵みを代々お米づくりに活かしてこられたのでしょう。

「雪椿」のお米との出会いは2018年、親しい料理人からの紹介によるものでした。初めて口にしたときに、そのおいしさと美しさに驚きました。以来、コース料理の中でも使わせていただいておりますが、お客様から「ご飯がとてもおいしかった」と感想をいただくことが多々あります。
小林さんは、お米農家の16代目。「同一の人物が同一の田んぼで栽培した、いっさいブレンドされていない、安心安全なお米を届けたい」との思いのもと、伝統を守りながらも現代の最新技術や管理システムを使って、最高品質のお米づくりに取り組まれている方です。「米づくりという仕事はたとえ30年続けたとしても、30回しか作れません。毎年のように天候は変わり、近年の温暖化もあり、経験も大事だけれど、知恵を使わないと難しいのです」というお言葉が印象的でした。

おいしさの秘密は「雪解け水」「土壌づくり」そして「手間暇を惜しまない精米」にありました。日本有数の豪雪地帯である津南町だからこそ、春にはミネラルをたっぷり含んだ雪解け水を使用できます。これにより棚田にたっぷりと栄養がいきわたり、おいしいお米づくりにつながるのです。また土壌づくりには、通常の4倍程度の経費と手間をかけているとのこと。秋の収穫を終えたらすぐに土づくりをスタートし、春の雪解け後にも有機肥料を与えて土を作るのだそうです。
そしてお米は、熱で食味が落ちる為「雪椿」では収穫後は熱で乾燥させず、ゆっくりと除湿して乾燥しております。精米でも熱を使わず、通常は玄米に熱をかけて磨く為、精米後のお米は50度ぐらいの熱をもちます。生産の工程だけでなくお届けするまで「雪椿」には他に無いこだわりが沢山あるそうです。

さらに、週に一度は自分たちで色・ツヤ・粘り・香り・硬さ・味などの官能検査を徹底しておこなっていると言います。現代の技術を取り入れながらも、人の手作業や感覚を最も大事にするという姿勢が素晴らしいなと感じました。ジャパンフードセレクションで金賞受賞、そして全国の生産者が出品する米の国際コンクールで4年連続最高賞を受賞し、5度目の受賞で殿堂入りを果たしたという輝かしい受賞歴にも、深く得心いたしました。

小林さんたちが、「人の手」と「想い」でつくりあげるからこその「雪椿」のおいしさ。ぜひ、コース料理の中でもお楽しみいただけましたら幸いです。
料理長・松下俊一よりひとこと

魚沼産コシヒカリ「雪椿」は、2018年から使わせていただいております。新米の時期は白米でお出しすることもありますし、季節に応じてコースの土鍋炊き込みご飯にすることもあります。もともとのお米がおいしいですから、炊き込みにしたときにもいっそう味に深みが出るのです。
「雪椿」の特徴は、粒がきれいでツヤがあること、そして甘みが強いことです。水っぽさや割れがなく、炊き上がったときに美しいツヤがあらわれます。厳しい自然の中で代々続く米農家であり、昔ながらの天日干しの技術や味を熟知しているからこそ、現代においても丁寧な精米をおこない、おいしさを存分に引き出せているのだと思います。
抜群のおいしさはもちろんのこと、味にいっさいのブレがなく、いつでも同様に高品質で安心感があることも素晴らしいなと感じています。ここ数年は夏の酷暑が続いており、毎年同じ味を作り続けること自体が大変な状況だと思われますが、それだけ厳しい基準を設け、徹底した品質管理をおこなっているのだろうと想像します。これからも変わらずにおいしいお米を作ってくださることを心より願っています。
越後雪椿産業・小林善仁様よりひとこと

お米は全国どこでも生産でき、品種も増えてきました。お客様の多くは産地、そして銘柄でお米を選定されることでしょう。 私たちは、どの産地で作るかも勿論重要ですが「誰が、どういう工程で、どう作るか」というストーリーを大切にしております。雪椿の産地である津南町は、人口が7千人ほどしかおらず過疎も止まりません。冬は厳しく日本屈指の豪雪地帯です。
ただこの自然豊かな環境だからこそ美味しいお米ができるのです。津南町の中でも標高が400メートル前後の田んぼでしかお米を作りません。それは昼夜の寒暖差により、バランスの良いお米が出来るからです。私たちは自然環境だけでなく、良いお米を作るために圧倒的な努力をしております。そんなこだわりが詰まった雪椿は、一般的には流通しておらず価値を認めて下さる世界中の飲食店、宿泊施設にのみ卸売しております。
福田家の松下料理長さんは、食材の探究心も高く良いものしか選ばれない方です。 超一流である福田家さんからご採用頂いていることは私たちの誇りで有り、モチベーションです。
今後も良いものをお届けできるよう精進してまいります。



